トーキョーおじさん こと 代表鈴木
自転車のカスタムと聞いて皆さんはどの様なイメージを持ちますか?
かつて多くの自転車は各部が汎用規格で設計されており競技用のロードバイクであっても乗り手の好みに手が入れられた車体を多く見かけました。現在、ロードバイクをはじめ多くの車体は専用設計化が進みカスタムとはアップグレード(高額パーツや高性能パーツへの入替)と同義の状態だと思います。
競技の視点からしてもポジショニングなど本来であれば様々なパーツを駆使してベストな状態を探る事で自分の車体になっていくのですが、現在は車体のデフォルト設計にライダーが合わせる状態になっていると思います。これは空力や剛性、最新パーツへのスペック最適化を完成車が求められてきた結果であり、また大人の事情としてはコスト管理など販売側(メーカーや代理店)の都合が含まれているのも事実かと。
一方でグラベルやツーリングシーンで活躍するスチールバイクを中心としてカスタムを愛好するユーザーは多く、その熱は今までにないほど高く、深度も深くなっているように感じています。
このような現状に対してCICLOREとして実験的なカスタム車体を製作し改めてカスタム世界の現在地を考えてみました。
こちらはカスタム前の車体とカスタム後の車体を並べています。(左:カスタム前、右:カスタム後)
ベースに使用したのはCICLOREのオールロード「Field」3AL-2.5Vのオーバーサイズチタンパイプを使用しテーパーヘッド、T47BB、700 x 40cのホイールを標準装備する現代的なスペックのバイクとなります。
今回のカスタムはオリジナルから幾つかの大きな変更がありますが、一番象徴的な変更はホイールを26インチにインチダウンした点。OLD MTBで主流だった26インチホイールにすることで街中やグラベルでの低速度域で安心感を持って楽しむ事が出来ます。またインチダウンによりスタックオーバーハイト(車体に跨った際のトップチューブ位置)も下がるので車体の取り回しが圧倒的に楽になりました。
これはディスクブレーキによりホイールサイズの変更が制限を受けずに可能となる特性を一番活かしているポイントとなり、正に現在スポーツバイクの主流となったディスクブレーキならではのカスタムポイントとなります。
(26インチホイールに組み換え)
もう一点はコクピット周り。ギリギリまで詰めたステムと幅広ライザーバーでアップライトなライディングポジションに変更しています。これにより26インチホイールと同様に低速域でのライドやグラベルなど不整地走行での車体コントロールが安定します。
特にこの改造をすることにより今回ベースで採用したサイズL(仮想ホリゾンタルトップチューブ550mm)の車体を幅広い身長の方が乗る事が出来るようになります。CICLOREメーカー想定でサイズL=175cm~182cmの適応身長が165~185cm程度まで一気に広がります。このカスタムは例えばパートナーとバイクを共有するなど新しい楽しみ方のアイデアになるのかもしれませんね。
(コクピット周り)
今回のカスタムの狙いは僕が一番よく使う低速度域へ最適化する事になっているのですが、実は最も意識しているのは自分の気分に合う自転車を作る事。自転車は移動道具ではなくファッションアイテムと同じように自分の好みに合わせてドレスアップするような存在だと改めて感じています。
はじめにお伝えした通り自転車に合わせる事が多い最近の状況に対して、自転車のキャラを自分に寄せる作業、自分の心地良い乗り方や自分が愛せる車体に育てる行為=パーソナライズがカスタムの本質なのだと気づいたカスタムチャレンジとなりました。
(カラーパーツもドレスアップのポイント)