今回は23AW CICROLEアパレルラインの中でもメインファブリックとなっている60/40クロスについて少しだけ深堀りをしてみたいと思います。
まずは60/40クロスが使用されている代表格アイテムである、
マウンテンパーカーといえば、この写真という1枚。
映画「ディア・ハンター」のロバート・デ・ニーロ。
この代表的なカラーリングと素材感、配色になっている可愛らしいビスロンファスナー(Vislon Plastic Fastener)や豚鼻(pig snout)などの付属、改めて見ると、やっぱり機能美だけでなく、見た目も洒落ています!!
ちょっと脱線しますが、ずっとこれはSIERRA DESIGNSだと思っていたのですが、古着屋さんなど博識の方達によると、どうやらこれは違うメーカーの物のようですね。
ともあれ、サイズ感など時代を感じさせるこの着こなしも含めて、60/40クロスのカッコ良さを語る上では外せないかなと思い、載せてみました。
では、改めて60/40クロスのご説明を!
かなり有名な素材なので、皆さんご存じかもですが、『ロクヨンクロス』(6=ロク、4=ヨン)と読みます。
コットン60%、ナイロン40%という混率で織られた生地なので、そう名付けられました。
1960年代に入って誕生した素材で、60/40クロスは雨が降って衣服が濡れると、コットンが膨らみ、密度が高くなる事で雨の侵入を防ぎます。
また、雨が止んで乾くと、横糸の綿はまた一定の通気性を保ち、湿度を外に逃がして快適な状態を維持するという仕組みになっています。
1950年代まで、衣類に化繊が使われる事はあまり無く、天然素材が一般的でした。
当時はアウトドアシーンも例外ではなく、エベレスト登山などでも天然素材の洋服を着て登っていました。
こちらの写真は1953年にエベレストに初登頂した際に撮られたものですが、コットン素材のアノラックを着ています。
インナーはおそらくカシミヤやウール素材の物を着ているのでしょうが、今見ると街着に近いような恰好で世界最高峰の登山をしているように見え、現在とのギャップに驚きます。
60/40クロスが誕生するまでは、オイルレザーやビニールをはったコットンを用いて雨を防ぐという方法がとられていましたが、これらの素材には発汗の放出を妨げ、不快な蒸れを発生させるマイナス面がありました。
この蒸れずに雨風をしのぐという作用を両立させようと考えられたのが、60/40クロスです。
また、個人的に60/40クロスを気に入っている点が、もう1つ。
それはコットンを使用しているからこその、経年変化です。
長年使っているとコットンの毛羽立ちにより、色が少し抜けたような、味わいのある色へと変化してきます。
悪い表現でいうと、色が褪せるという事になるかもしれないですが、
60/40クロスに限って言えば、使いこんだ時の方が断然、雰囲気があります。
60年代に誕生して、50年以上の間にGORE TEXなどのハイテク素材が多くでており、
機能面だけでいうと、クラシックな昔のハイテク素材というイメージが強くなっているかと思います。
ですが、その風合いと使い込んだ際の雰囲気は60/40クロスにしか出せない表情を醸し出し、今でも唯一無二の素材として変わらず愛されている素材です。
では、話も長くなってきたので、今シーズンCICROLEからリリースする60/40クロスを使用しているアイテムを紹介して終わりにします。
オーセンティックな英国スタイルのハンティングウェアをベースにしています。
REらしく、自転車に乗る際に袖口からの風の侵入を防ぐリブ仕立てとなり、またサムホールを設ける事で前傾姿勢を取った際もしっかりとフィットし手首周りを寒さから守ってくれるような仕様を採用しています。
デザインと配色は70年代~80年代の雰囲気で纏められています。
ワイドに設定したボディは気温に合わせてインナーウェアの選択肢を増やせるように配慮されており、レイヤリングを工夫することで幅広い着用シーンで最適な状態を作り出すことができます。ライド時にはロングテール仕様より背中をしっかりとカバーします。
それぞれの商品ページで型の詳しいご説明も記しているので、是非、一度ご覧ください。